ひと口に「シロアリ」と言っても、世界中に存在するのは2000種以上。
そのうち、日本では17種が知られています。木造建築物を食い荒らすのは、
その中のごく一部。シロアリは本来、生態系の中では森の倒れた樹木を土に還す
『益虫』としての役割を持っています。日本で家屋害虫と言われる代表的なシロアリは、
「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」。種類によって生息地帯も違っています。
大きさや生活様式が蟻に似ていることからこの名前がついたシロアリですが、
分類としては、実はゴキブリやカマキリなどに近い昆虫。
蟻(クロアリ)が「ハチ目」に属するのに対して、シロアリは「シロアリ目」。
蟻と違い、幼虫からサナギにならずにそのまま成虫になる不完全変態の昆虫です。
シロアリは、光に弱く、湿気を好みます。そのため、ふだんは見えない
家の床下から上がってきます。床下の風通しが悪く、ジメジメしていると、
シロアリを招く恐れが出てきます。シロアリは目で見ることができるので、
飛んできた羽アリなどを見つけた時はすぐに専門家にご相談を。
普段の心がけ、早めの対処が肝心です。
光を嫌うシロアリは、巣から外に出る時、必ず特殊な通路を造って、
その中を行き来します。また、乾燥を嫌うため、空気の動きのない場所の地下から
家へ侵入する道を「蟻道」と呼びますが、木材の表面から吹き出ている
場合は「蟻土」。巣とすべての餌場は、蟻道・蟻土でつながっています。
また、蟻道・蟻土は土の中で坑道となっていますが、地上へ出ると
土や排泄物で塗り固めたアーケ−ド状のトンネルになります。
通常、シロアリはこの安全な蟻道を通って餌場に通うので、
外で姿を見せることはありません。